Flow / ミハイ・チクセントミハイ (1)


ミハイ・チクセントミハイの「Flow」を読んでいる。直接にデザインやエンジニアリングに関わる本ではないもののUX関係のいろいろな本で言及されているので一度ちゃんと読んでこうと思ったのです。とうことで読書中のメモを書いて行こうかと思う。

中心となる問題意識は「人の幸せとはなんなのか?満足している状態とはなんなのか?過去の時代から較べると物質的には何十倍も豊かになっているし、社会的にも最も洗練された状態にあるのになぜ幸せ感はそれほどにも上がっていないように感じられるのか?」というもの。社会的に、というのは、民主主義的なシステムが長い歴史的な苦労の上にやっとのこと築かれた現在であるにもかかわらず、という意味。よく聞く議論ではあるが確かにそうだ。そのあたりを科学の視点から検証して行こう、という本らしい。

ちなみに、幸せ度を測る試験として、ランダムに一日8回鳴るようにしたページャー(ポケベルみたいもの?)を色々な人にもってもらい、それが鳴った時の気分やしている事をメモする、という調査を1週間やったそうだ。日記調査としてなかなか面白い。携帯電話の利用実態などもこの手法で調査すると面白いかもしれない。

以下メモ
* 人々はリッチになりたい、痩せたいなどと願うものだが本当に満足できるものはそれではない。
* 根本的には世界は予測不可能なものであり、それを無理矢理に理解しようとして様々な社会的ツール(文化や宗教など)が作られてきた。それは「カオスから人々を守るシールド」である
* 私たちはもっとも重要なのは未来に起こることだと信じるように育てられてきている。今の苦労は未来のため、未来のため、と常に現在ではなく未来のために現在を生きているところがある。「それは常に明日のパンとジャムであり、今日のパンとジャムではない。」
* 私たちは動物的な欲求(肉体的な快楽をものめるもの)と社会的な欲求(まわりの人の評価をもとめるもの)に内側と外側からコントロールされている。そこから意識を使って自由になるのが満足いく毎日を送るための道である。

#現在1章を読み終わったところ

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ペーパープロトタイピングならぬペーパービデオ

某本で知った”Twitter in plain english”というビデオが面白い。ペーパープロトタイピングならぬ紙とマジックのみで作った紹介ビデオ。

この会社Common Craftはこういった紙芝居型の紹介ビデオを作るサービスをしているらしい。Twitterだけでなく、例えば電球型蛍光灯の効果(とリスク)を説明したビデオもある。

あえてミニマムな手法でこなしているところがクールだし。これをビジネスにしてるのがすごいね。I like it.

nine hours

噂のカプセルホテル「nine hours」に泊まってきた。

女性用、男性用とフロアが別れていてエレベーターからして別。

左はロッカーとシャワーのフロア、右はカプセルの並ぶ部屋。

カプセルの中はこんな感じ。

スッキリとデザインされているので、カプセルホテル独特のみじめな感じはまったくしない、が、逆にカプセルホテルや健康ランドなどにあるユルい感じ(だらしなくてもゆるされる感じ)もない。ただしそれも、スターバックスでタバコが吸えないのと同じで、ある種のユルさを切り捨てて別の人に対しての快適な空間を作っているとも言える。なので、いままでカプセルホテルに独りで泊まるのは躊躇したような女性が、ここだったら利用したい、と思ったなら成功していると思う。

Webのエスノグラフィ? – ウェブは2重コンテキストモデル

先日のWeb-UX研究会ででた話で印象にのこった一言に「ウェブは2重コンテキストモデル」という安藤先生(@masaya21)のコメントがある。ウェブのサービスを考える上ではリアルのコンテキストとウェブの中のコンテキストを考えないといけない、という意味で、それを聞いて目からウロコが落ちた。(まぁわりと簡単に落ちるわけだけど)

図にするとこんな感じか

エスノグラフィはウェブにも有効か?

プロダクトデザインとウェブサービスのデザインの違いとして、エスノグラフィの有効性に違いがあるのではないか、と常々思っていた。現場に入って観察を主とする手法はプロダクトデザインのようなユーザーとモノが1対1の関係ならば見やすいが、ウェブサービスとなると、ちょっと難しいところがあるのではないか、と思っていた。それはウェブが身体性に欠けているからではないか、と思っていたのだが、それよりもこの「ウェブは2重コンテキスト」であるという考え方だと説明がつきやすい。たしかに一昔前のマスメディア型サイトやコーポレイトサイトのような情報の流れが一方向のものと違い、最近のウェブサービスはウェブの中にソーシャルグラフを持ち、ウェブの中でのユーザー同士のコミュニケーションというのが発生する。さらに難しいことにネットワーク外部性(あるネットワークのユーザーが増えれば増えるほと1ユーザーの得る利が上がる)の効果も強く作用する。なので、プロダクトデザインと同じ考えでエスノグラフィをやってしまうと、得られる情報は2重コンテキストモデルのリアル側のものだけになってしまう、ということなのだろう。となると、ウェブの中のコンテキストにおけるエスノグラフィ、またはそれに相当するような観察手法を考えないといけない。さて、どうすればよいだろうか?

UXD initiative 第一回研究会

UXD initiativeという研究会に参加してきた。千葉工大の山崎研究室に社会人/学生を問わず20人程度を集め、ゲストのプレゼンを聞いた後にディスカッションするというもの。少人数で行うので、よくある講演形式とは違った密度の濃い研究会だった。

今回のプレゼンターはKevin Clark氏。元IBMのブランドとエクスペリエンス担当のディレクターで現在はContent Evolutionというコンサルティングファームの代表をしているそうだ。この種の職能の人の共通した特徴でもあるが、Kevin氏もビジュアライズが非常にうまい。体験の価値やユーザーのメンタルな価値観など、なかなか表現しにくい要素を2軸のマトリックスだったり円を重ねるようにしたクラウド型の図形だったりと様々なビジュアライゼーションを駆使していて大変参考になった。よいビジュアライズには考え方のプロセスが見える。

Observation is better than asking?

途中「Observation is better than asking」という言葉がでてきたが、これは経験的にも同意できるところが多い。昨日も某システムにあがってきた「あったら便利な機能」のリストをチェックしていたのだけれど、どうも本当に現場とマッチしているとは思えないような項目が多々あった。それよりは実際にユーザーが使うシーンを観察した方が得るものが大きいのは想像に難くない。とはいえKevinさんのプレゼンでもいわゆるペルソナのようなユーザーの特徴やメンタルな価値観をビジュアライズしたシートがでてきていて、そのレベルとなると観察だけでは知り得ないだろうと思われた。なので、そういった調査にはインタビューを行うのか?行うとしたら単なるAskingとどう違うのか?と聞いてみた。

『単なる質問とエスノグラフィックな問いかけは違う。 例えばペンについて知りたいとする。ユーザーに「あなたはそのペンを好きですか?」と聞くのは単なる質問だが、「そのペンを手に持っている時に、あなたはどんなことをしていますか?」と尋ねてみる。そうするとユーザーはストーリーを語りだす』

なるほど。

“Storytelling for User Experience”


Rosenfeld Media から出版されている”Storytelling for User Experience“を読んでいる。物語という形でユーザーの行動を集めることで、よりユーザーの体験についてのより深い洞察を得よう、というもの。随所に著者二人の語る形式で経験談が語られているのが興味をひき、それゆえに「ストーリー」の有効性が証明される。あくまで現場のための本を目指すRosenfeldらしく、うまく相手の語りをひきだすための問いかけの方法など、具体的なTIPSも挙げられているので役に立ちそうだ。”物語”と言っても、想像して作り上げるものではなく、あくまでユーザーのインタビュー(ないしはログのデータ)などからなるべく具体的に作り上げていく、という点が何度も強調される。デザインにおいては「聞き上手」というのはひとつの職能である、と常々思っているのだが、行動の観察から一歩踏み込めんだ知見を記録するのは「物語」という形式が得意とするところなのだろう。以前、東大のi.schoolのワークショップにて、アイデアを演劇の形でプレゼンするのを見たことがあるが、あれもまた一つの形か。

ちなみに、この本は購入するとePubとMobiと両方ダウンロードできるのでiPadとKindleとで読むことができる。図はiPadの方がきれいだけど、持ち運ぶならKindleなのでこうなっていると嬉しい。

楽天の脇坂さん(@wackiesrock)を中心の翻訳も進んでいるとのこと。楽しみだ。